2017年11月19日日曜日

論語(17); -君子と小人(ii)-

以下引き続き君子を説明したもの、小人と比べて説明したものをピックアップします。前回の(i)で述べましたようにそう卓見あるいは警句を見いだせないとおもいます。

為政第二の13に君子について問われた孔子の答えとして
「先行其言,而後從之」
の言があります。すなわち
“言おうとすることをまず実行してから、あとからものをいうことだ”
偉そうなことを言っただけで実行が伴わないのは醜態ということになります。これは尤もなことですが、月並みな言にも見えます。
質問した子貢が口が達者だったので言に行いが伴わず、孔子はそれを注意しているのだそうです。

為政第二の14
「君子周而不比,小人比而不周」
とあります。
“君子は広く親しんで一部に阿ることはないが、小人は(利害や感情に制せられ)一部で阿り合って広く親しまない。
この小人で思い浮かべるのはむしろ女性の交わりでは、と思ったりします。感情に制せられ仲のよいものだけで徒党を組みやすいと思います。

里仁第四の5では
「富與貴是人之所欲也,不以其道得之,不處也;貧與賤是人之所惡也,不以其道得之,不去也。君子去仁,惡乎成名?君子無終食之間違仁,造次必於是,顛沛必於是
とあります。これは
“富と貴い身分はだれでも望む。しかし相当な方法で得たのでなければそこには君子は安んじない。貧乏と賤しい身分は誰でも嫌がる。しかし相当な振る舞いでをしているにもかかわらず陥ったならば君子はそれを避けない。君子は仁から離れたらどこで名誉を全うできよう。君子は食事の間でも仁から離れることはなく、危急の場合でも、ひっくり返った場合でも仁にとどまる。”
という意味です。
これは精神基調としては正しいのでしょうが、建前を述べているだけようにも見えてしまいます。

里仁第四の10には
「君子之於天下也,無適也,無莫也,義之與比。
とあります。すなわち
“君子が天下のことに対するには固執するところもなく断じてこうしない、と頑張ることもない。ただ義に従うだけだ。”
しかし、義に従おうとするならば、固執したり、これは駄目と頑張る必要があるのではないでしょうか?

里仁第四の11には
「君子懷德,小人懷土;君子懷刑,小人懷惠。
とあります。
“君子は道徳を思うが、小人は(安住の)土地を思う。君子は儀型礼法を思うが小人は温計を得ようと思う。”
これは月並みな比較にしか見えません。

里仁第四の16には
「君子於義,小人於利
とあります。
“君子は正義に明るく、小人は利益にあかるい。”

君子と小人の区別の良い例としてこの句は有名らしいですが、正義とわが身の利益の間での身の処し方はそんなにくっきりと分かれるものでなく、人により、場合により君子より、あるいは小人よりにふるまうのではないでしょうか。





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